良く聴くノート | 認定補聴器技能者による補聴器と聴こえのブログ

補聴器外来ってなに? 補聴器外来の流れについて

2020/07/02
補聴器外来
補聴器 難聴 補聴器販売店 認定補聴器技能者 耳鼻咽喉科
補聴器の使用を検討される際、耳鼻咽喉科の医師に補聴器の使用を相談されるケースが増えているようです。

購入の前に耳鼻咽喉科を受診するメリットには、
・治療によって聴力が回復する場合がある
・鼓膜・外耳道の異常の有無を調べてもらえる
・医療行為としての聴覚検査を実施してもらえる
などがあります。

補聴器外来を設置している耳鼻咽喉科であれば、補聴器外来を利用することも可能です。

しかし、補聴器外来という言葉を聞いても、どのようなことをしているのか分からないという方も少なくないでしょう。

今回は補聴器外来がどのようなものかを紹介します。


補聴器外来の定義
一般社団法人日本補聴器販売店協会は、補聴器外来について「医療機関内における補聴器外来・相談への 技能情報提供に関する業界ガイドライン」において、次のように定めています。

「補聴器外来・相談」とは,補聴器の使用を希望する医療機関の管理下にある難聴患者に対し,医師等の医療担当者がその適合と効果の評価等(以下,適合評価等)の診断並びに装用指導を行う形態をいう。

引用:医療機関内における補聴器外来・相談への 技能情報提供に関する業界ガイドライン
http://www.jhida.org/pdf/kensyo/gairai.pdf


補聴器外来とは医師が難聴患者に対し補聴器を使用しても良いか、どのように使用するべきかを診断・指導する診療形態のことを指します。


実際の補聴器外来
上述の定義に基づくと、補聴器外来は医師が難聴患者に補聴器の使用可否を判断したり、補聴器の使用方法を指導したりする行為ということになります。
しかし、実際の補聴器外来で患者に直接接するのは医師ではなく補聴器技能者であることが多いです。

これは、医師が難聴患者に補聴器の操作説明や使用指導を行う際に、補聴器の操作方法等の技能情報の提供を補聴器技能者に要請しているからです。

この技能情報の提供について、一般社団法人日本耳鼻咽喉科学会は次のように定めています。

(1)以下の診療行為は医師または医師の指示を受けた有資格の職員が行う。
a)診療報酬に係わる検査、b)適応決定、c)耳型採型、d)医学的装用指導、e)適合評価、f)診療録の記載

(2)補聴器業者から技能情報の提供を受ける場合には、難聴患者に販売業者(認定補聴器技能者)が知識・情報などの提供を行うことを説明し納得を得て行う。技能情報提供は具体的には以下の行為を含むものとする。
a)機種選択、b)補聴器調整、c)操作方法の説明、d)クーリングオフの説明、e)試聴と効果の聴取に基づく再調整、f)業者としての記録と適切な管理

引用:病院、診療所の補聴器外来における医療従事者の行動基準
http://www.jibika.or.jp/members/iinkaikara/hotyoukigairai.html


(1)の通り、難聴患者は医師から補聴器の使用可否の診断を受け、補聴器の使用方法の指導を受けるわけですが、
それに付随して発生する患者に対する技能情報提供については、医師の要請を受けた補聴器技能者が行っているのです。


補聴器外来の流れ
補聴器外来で補聴器の購入を新規に検討する場合を想定して、耳鼻科受診から購入決定までの流れを解説します。
補聴器外来フローチャート
上図は補聴器外来の流れをフローチャートにて示したものです。耳鼻咽喉科によって多少の差はありますが、おおよそのイメージを捉える参考にしてください。

左側(青色)は耳鼻咽喉科で医師、看護師、検査師、言語聴覚士が行う項目です。
順番に解説していきましょう。

難聴だと感じた方(以降、患者と記載します)が耳鼻咽喉科を受診して、すぐに補聴器外来を受けられるわけではありません。
まずは、難聴の原因を確かめたり治療が可能かを確かめたりするために、診察と聴覚検査が行われます。
治療が必要であると判断された場合、補聴器外来ではなく通常の診療を行います。
治療によって聴力が回復すれば補聴器を使用する必要はありません。

治療不可能な難聴、もしくは治療を行ったが完全には聴力が回復しなかった場合に、医師の判断と患者の希望により補聴器外来を受けることができます

フローチャートでは右側(橙色)が認定補聴器技能者・言語聴覚士が担当する補聴器外来の項目です。
言語聴覚士が耳鼻咽喉科に在籍している場合は、補聴器外来に携わることがあります。

基本的には補聴器販売店で補聴器を購入する流れと同じですが、
医療機関内において診療報酬に関わる検査は医師または医師の指示を受けた有資格者の職員(看護師、言語聴覚士、臨床検査技師が行わなければなりません
つまり、補聴器外来においては、認定補聴器技能者は聴力検査や補聴器適合検査を行うことはできないのです。

そのため、耳鼻咽喉科の診療方針によっては、補聴器を調整する上で不可欠な語音明瞭度、不快閾値、音場での補聴器装用閾値の測定を実施しない場合もあります

筆者が実際に訪問したり、同業者さんから聞いたりした範囲の話になります。
不快閾値を調べる耳鼻科は極めて少ないです。
語音明瞭度については、検査技師が在籍している総合病院や大学病院は実施しています。それ以外のクリニック等は実施していないことも多々あります。理由としては、語音明瞭度を調べられる設備が整っていなかったり、適切に検査を行える職員がいなかったり、検査に必要な人件費が診療報酬を上回り赤字になってしまったりなどがあります。
音場での補聴器装用閾値については補聴器適合検査の施設基準を満たしている耳鼻咽喉科で実施しています。

適合検査を行える耳鼻咽喉科であれば、日本聴覚医学会が定める「補聴器適合検査の指針」に基づいて検査が行われます。
一方、適合検査を行えない耳鼻咽喉科の場合は、認定補聴器技能者が確認した補聴器装用の効果に基づいて、医師が補聴器適応の決定を行います。

補聴器外来には、専門的な知識と技能を持った耳鼻科医師と認定補聴器技能者が対応を行うメリットがあります。
一方で、耳鼻咽喉科の検査や診療の方針も一律に定められているわけではないので、補聴器外来によっては検査内容や補聴器の調整の精度が認定補聴器専門店に比べて低くなってしまうことも起こり得ます。


補聴器の効果を高く求めるのであれば、「補聴器適合検査」を実施している耳鼻咽喉科を受診されることを強くお勧めします。