良く聴くノート | 認定補聴器技能者による補聴器と聴こえのブログ

難聴とうつ病について 『第1回:うつ病とは何か、うつ病の原因と難聴』

2020/05/14
難聴とうつ
難聴 うつ病
テレビや雑誌などのメディアで、難聴はうつ病の原因である、という話をしばしば目にすることがあるます。

難聴があるからといって、必ずしもうつ病になるというわけではありませんが、その因果関係については、
米国全国栄養健康調査による70歳以上を対象とした 自覚的難聴と抑うつ の調査により、
中等度難聴がある場合、難聴が無い場合と比べて抑うつの有病率が増加することが明らかになっております。
(※ JAMA Otolaryngology Head Neck Surg.140 , 2014 より)

また、抑うつ状態は認知症の要因になり得るとの主張もあり、世界的に研究・調査が行われております。

難聴とは何かと問われたときに、難聴については"聞こえが悪い状態"であり、答えられる方も多いかとは思いますが、一方で うつ病とは何か と問われたときにうまく答えられる方は少ないのではないでしょうか。


抑うつ気分とは何か、うつ病とは何か、そのような症状を持った方にどのような対応ができるのか、
何回かに分けて記事にしていきたいと思います。

1. うつ病とは何か

うつ病は、その人それぞれに表出している症状や生活状況などを踏まえて判断されるものであり、「〇〇だからうつ病」というような明確な定義づけは難しいのですが、「抑うつ症状(気分の落ち込み、意欲低下など)が連続しており、日常生活に支障が出ている状態」だと思ってください。

国際疾病分類に基づけば、一般的なうつ病(内因性うつ病)は精神病には該当しません
病状の悪化等によって重度の精神症状や行動障害を呈している場合においては、"精神病性のうつ病"として精神病に該当することもあります。ただし、"精神病性のうつ病"は自身で身の回りのことができなかったり、自殺傾向が極めて強いなど、入院が必要となるような状態を指すようです。

内因性うつ病は「心のかぜ」等と表現されることもあるように、誰でもかかる可能性がありと言われています。そして、かぜと同様に早期に適切な治療を行うことで完治していくものであるとも言われております。一方、初期段階での適切な治療を逃すことで重症化することも有り得ます。
「心のかぜ」が「心の肺炎」になる前に、適切に医師の診療を受けることが大事だとされています。


2. うつ病の原因と難聴

モノアミン仮説によれば、うつ病は、脳内のモノアミンと総称される神経伝達物質の分泌量が低下することで起こるとの考えられています。
そして、モノアミンの分泌量が低下する要因として、不規則な生活、不眠、不安、疲労などによるストレスが挙げられています。

ストレスに対する抵抗力は誰しもが有しておりますが、
大きなストレス、継続したストレスなどによって、抵抗力が限界を超えてしまうと、身体的もしくは精神的な不調が起こります
この不調の中には、うつ病も含まれます。


ストレスの原因(ストレス因、ストレッサー)は、

・物理的なもの(寒暖、音、光など)
・化学的なもの(悪臭、酸素不足、栄養不足など)
・生物的なもの(ウィルス、細菌など)
・精神的なもの(人間関係、不安、緊張など)

以上の4つに分類されます。

難聴が生じた場合、周囲の危険を察知しにくくなるといった不安や緊張、言葉の聴き取りが困難になり会話が滞るといった人間関係への影響が考えられます。
これらが、長期的に続いた場合、あるいはとても大きな不安や人間関係の悪化に繋がった場合うつ病を始めとする心身の不調に至るのではないでしょうか。


今回のまとめは以下の通りです。

1・うつ病は、抑うつ症状が連続しており、日常生活に支障が出ている状態のことである。
2・一般的なうつ病は、いわゆる精神病ではない。
3・うつ病は、「心のかぜ」と表現されることがあるように、誰でもかかる可能性がある。
4・うつ病は、かぜと同様に適切な治療によって完治する。
5・ストレッサーが個々人のストレスに対する抵抗力を超えると、心身に不調が現れる。
6・難聴によって、精神的なストレッサーが発生することが考えられる。

次回は、うつ病の症状について、まとめたいと思います。