良く聴くノート | 認定補聴器技能者による補聴器と聴こえのブログ

どうして『補聴器の寿命は5年』なのか? 障害者総合支援法と補聴器の耐用年数の話 

2020/04/26
補聴器の性能
補聴器
「補聴器の寿命はどれくらいですか?」
という疑問を持ち、補聴器販売店で尋ねたり、インターネットで調べたりしたことがある人は少なくないでしょう。

「5年が目安です」
という回答を良く耳にするのではないでしょうか。

実際のウェブサイトの表記を確認してみましょう。

補聴器の製品寿命は5年と言われています。しかし、これはあくまでも目安であり、厚生労働省が定めた総合支援法に記載されている、補装具としての耐用年数に基づいています。
引用 Hear Better.Live Better.BLOG:スターキー社
https://www.starkeyjp.com/blog/2017/10/hearing-aid-and-battery-lifecycle

リオネット補聴器をお使いいただける期間は、使用方法やお手入れなどにもよりますが、「使用開始から5年間(耐用期間)」が一つの目安となります。
「耐用期間」とは、「医療機器が適正な使用環境と点検、修理等の維持管理の下に、適正な取扱いで本来の用途に使用された場合、本来の機能及び性能を維持し、使用することができる標準的な使用期間」のことです。
耐用期間はメーカーが定めており、リオネット補聴器ではご案内のように「使用開始から5年間」としております。

引用 リオネット補聴器公式サイト:リオン社
https://www.rionet.jp/reassurance/buy-worry/service_life/


補聴器メーカー2社とも、5年が目安との表記です。そのほかのメーカーも補聴器販売店も、やはり5年という回答が多いようです。

リオン社は「耐用期間はメーカーが定めている」という見解ですが、スターキー社を始めとする多くのウェブサイトでは「総合支援法に記載された耐用年数に基づく」という見解が見受けられます。

厳密に言えば、障害者総合支援法の条文に補聴器の耐用年数は5年であると直接的に記載があるわけではありませんが、障害者総合支援法を根拠に、補装具それぞれに耐用年数が定められております。

財団法人テクノエイド協会が、厚生労働省の事業の一環で作成した『補装具支給事務ガイドブック』には、補聴器の耐用年数が5年である旨が記載されています。

また「補装具費支給事務ガイドブック」には、耐用年数について次のように記載されています。

補装具の耐用年数については、通常の装着等状態において当該補装具が修理不能となるまでの予想年数が示されたもの
引用 補装具支給事務ガイドブック.14頁|財団法人テクノエイド協会
https://www.mhlw.go.jp/content/12200000/000307895.pdf


耐用年数とは修理不能となるまでの予想年数と記されております。

修理が不能な状態とは修理工場が補聴器の部品を用意できない場合です。
部品がある限りは、基本的には補聴器の修理は可能です。

しかし、耐用年数=修理不能となる予想年数は5年とされている。

部品がある限り半永久的に補聴器の修理が可能なのだから、補聴器に耐用年数は存在しないのではないかという考えもあるかもしれませんが、
これは言い換えると、部品が無くなったら修理ができなくなるということでもあります。


補聴器は毎年のように新しい機種が発売され、古い機種は次々と製造終了となっていきます。
製造終了になった機種の部品も、順次、製造・保管が中止されていきますが、
補聴器メーカーは、製造終了になった機種の部品を5年間は保管もしくは製造できる体制を整えています。
(※メーカーによっては5年以上の保管年限を独自に定めている場合もあります。)

製造終了となった補聴器について、その補聴器の部品は5年間は保管されているので、5年間は確実に修理が可能です。
しかし、6年後には部品が無くなり修理ができなくなるかもしれません。

発売開始になった日付と、発売終了になった日付を比較すれば、数月から数年の差はあるでしょう。
もちろん新発売の器種の方が修理可能な期間は長くなりますが、同じ補聴器なのだから発売年月日に関わらず耐用年数は同じでなくてはなりません。

部品の保管期間が5年である以上、修理不能の予想である耐用年数を5年より長期には設定できないのです。


もっとも、補聴器が修理可能であったとしても、4~5年が経過すれば、個々の生活環境は何かしらの変化が生じていくものかと思います。
スマートフォンが普及したり、社会のバリアフリーが進んだりということがあるかもしれません。
就職、結婚、出産、育児、退職、など新しいライフイベントを迎えることもあるかもしれません。
聴力が低下したり、外耳道の形状が変わったりということがあるかもしれません。
そのような新しい環境に対応していくために、新しい補聴器が必要ということは十分に考えられます

補聴器を使われる方は、故障しても修理できるということは念頭に置いておくと良いでしょう。
その上で、新しい補聴器が必要なのかを自身の生活を振り返りながら、買替を判断してください。