良く聴くノート | 認定補聴器技能者による補聴器と聴こえのブログ

補聴器メーカー 14社を比較しました。

2020/04/21
補聴器の選び方
補聴器 補聴器販売店 認定補聴器技能者
補聴器を購入される際に、どの補聴器がいちばんいいのだろうと悩まれるお客様は大勢いらっしゃいます。

現在、日本で補聴器を発売している主要なメーカーは10社以上です。

音を聞くための器械なのだから、どのメーカーの補聴器でも大差ないのではないかとお考えの方もいらっしゃるかもしれません。これは、ある意味では正しく、ある意味では間違っています。

自動車で例えるならば、メーカーごとに、軽自動車が得意であったり、トラックが得意であったり、スポーツカーが得意であったり、電気自動車が得意であったりと、特徴が分かれています。

補聴器も自動車と同様に、メーカーごとの特徴というものがあります。
補聴器を使われる方それぞれの目的によって、うまく適合するメーカーは存在します。

それでは、適合しないメーカーの補聴器は全く使用できないかというと、必ずしもそういうわけではありません。
自動車であれば、人や荷物を目的地まで移動させるという点においては、軽トラックの助手席に大統領を乗せて走ることもできれば、スポーツカーで未舗装の林道を走ることもできます。
補聴器も音声を聞き取るという目的はどのメーカーにおいても共通事項です。

具体的にどのような時に、どのような場所で、どのような状況で補聴器を使用するかを考えたときに、メーカーによる特徴の差が活かされてきます。

そこで、少しでも皆様の補聴器選びの参考になればと思い、補聴器のメーカーごとの特徴をまとめました。

この記事ではメーカーごとの違いをざっくりと参考にしてもらえれば幸いです。その上で、補聴器店で詳細をお尋ねください。


また、少しでもイメージの参考になればと思い、補聴器のメーカーごとのキャラクター性も考えてみました。独断と偏見ですので、実状とは大きく異なる場合がありますので、ご了承ください。


フォナック

フォナックスイスの補聴器メーカーで、補聴器の世界シェア1位のソノヴァグループの傘下企業。

音の環境分析が優秀で、環境に最適な音質へと自動的に選択するなど、ユーザーにとっては頼りがいのあるブランドと言える。

デジタルワイヤレス補聴援助システム「ロジャー」は、従来のアナログ方式の補聴システム(磁器ループ、FM、赤外線)と比較して、電波干渉・混線が非常に少なく、デジタル処理による騒音抑制や音量調整などを行い、より明瞭な音質を実現させている。他メーカーの補聴器や人工内耳との連携も可能である。聴覚障害教育の現場でも高く評価されている。
※誰とでも繋がれる親しみあるイメージ(個人の印象です)

オーティコン
オーティコン
デンマークの補聴器メーカーで、デマントグループの中核ブランドである。ウィリアム・デマント財団が所有するデマントは、人工内耳や聴覚診断機器の製造など、聴覚ヘルスケアにおけるすべての分野に参入している。補聴器メーカーとしては慈善財団に所有されている世界で唯一の企業でもある。

先進技術とオージオロジーにおける最先端の研究開発に力をいれており、「常に最も革新的な補聴器技術」を提供していく補聴器業界のパイオニア的存在とも言える。

音源に対する方向感や距離感の識別などが得意で、全方位からの豊かな聞こえを得られるなど特徴的な機能がある。
※開発熱心な研究者のイメージ(個人の印象です)

シグニア
シグニア
ドイツ発祥のメーカーで、現在はシンガポールに本社を置くWSオージオロジーのブランドの一つである。前身は医療機器メーカーのシーメンスの補聴器部門であり、医療機器メーカーとしての長い歴史を持つが、補聴器の歴史は比較的浅いものの急成長を遂げて、現在では業界第3位のシェアを持つに至った。

2019年にワイデックスと合併後も独立したブランドとして製品を展開している。

補聴器ユーザーを意識した快適性も充実しているが、ユーザーになる前の難聴者へのソリューション力が高い。音の学習機能、騒音抑制、指向性などの機能面だけでなく、アクセサリーのようなスタイリッシュでおしゃれな形状など、難聴者が補聴器へ馴染みやすいような製品が特徴的である。
※幅広く機能を使いこなせる医療従事者のイメージ(個人の印象です)

ワイデックス
ワイデックス
デンマーク発祥のメーカーで、WSオージオロジーのブランドの一つである。2019年にシグニアと合併後も独立したブランドとして製品を展開している。

集音マイクの感度が非常に高く小さい音も良く聴きとれると評価が高い。5dBから113dBまでの範囲の音を捕捉することが可能で、緻密な処理によって一人ひとりに必要な音を提供することができる。

調整の可能性が広い分だけ、調整や適合にも時間が掛かることが多い。そのため、初めて補聴器を使用する方よりも、既に使い慣れている方に好まれやすい傾向がある。

日本では補聴器販売店最大手のブルームヒアリング株式会社を中心に取り扱いがある。
※どんな小さい音も聞き逃さない、何にでも気づく名探偵のイメージ(個人の印象です)

リサウンド
リサウンド
デンマークの補聴器メーカーで、GNグループの中核ブランドである。GNグループ傘下のジャブラはヘッドセット市場としては世界一のシェアを持ち、マイク、レシーバー、音声通信技術のノウハウは補聴器にも活かされている。

耳の機能や構造の観点から研究を進めている音声処理技術は、補聴器の集音マイクを本体から分離させた"外マイク"仕様の耳あな型補聴器を開発するなど、あらゆる音源の中から音声を聞き分けることに注力している。

汗や湿気に起因した故障を大幅に削減したナノテックコーティングなど耐久性にも力を入れている。
※通信技術に強く電脳世界に飛び込んで音を届けていくイメージ(個人の印象です)

スターキー
スターキー
アメリカの補聴器メーカーで、もともとは補聴器修理業者として創業された。

オーダーメイド補聴器の販売台数は世界1位であり、オーダーメイド補聴器の開発には特に力を入れている。世界最小と言われるIIC補聴器は、外耳道の奥まで入り込むことで目立ちにくく製作される。鼓膜面との距離が非常に近いことや外耳道の自然な共鳴機能を活用できることなど、より自然な音響効果を得られやすい。

3DセンサーやAIを搭載したことによる転倒通知や音声翻訳、文字起こしなどのスマートデバイスとしての機能も充実している。
※物陰に潜みしっかりと聞き耳を立てる忍者のイメージ(個人の印象です)

ベルトーン、ユニトロン (ニュージャパンヒアリングエイド)
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ベルトーンはアメリカの補聴器メーカーでGNグループの傘下企業。同じくGNグループの傘下企業であるリサウンドと比較して、製品内容に大きな差は無い。

ユニトロンはカナダの補聴器メーカーでソノヴァグループの参加企業。同じくソノヴァグループの参加企業であるフォナックと比較して、製品内容に大きな差は無い。

いずれも、日本においてはニュージャパンヒヤリングエイド株式会社が総代理店であり、製造拠点は国内最多の3箇所を有している。日本法人として培ってきたオーダーメイド補聴器の製造技術については、日本人の耳に適したことを意識した繊細さが特徴的である。
※それぞれリサウンド、フォナックの双子のイメージ(個人の印象です)

バーナフォン
バーナフォン
スイスの補聴器メーカーで、オーティコンなどを傘下にするデマントグループの一社。従来のマルチチャンネル技術を一掃したチャンネルフリー技術を開発し、明瞭で滑らかな音質を実現させた。

日本国内では補聴器専門店での取り扱いは少ないが、眼鏡チェーン店大手の眼鏡市場全店舗にて取り扱っている。
※言語が流暢な人のイメージ(個人の印象です)

フィリップス
フィリップス
オランダのヘルスケア製品のメーカーで、オーティコンなどを傘下にするデマントグループとライセンス契約を締結している。

補聴器専門店での取り扱いはほぼ無く、現時点ではメガネスーパーとコストコにて購入が可能である。デマントグループとライセンス契約を締結したことをきっかけに、販売網を拡大していく方針を発表している。
※これから販路を開拓していく営業マンのイメージ(個人の印象です)

リオネット
リオネット
オージオメーターや防音室などの聴覚検査機器を製造しているリオン株式会社のブランド。検査機器の販売や保守修理によって耳鼻科との連携を強めていくことで国内シェア第1位となった。

フランチャイズのような形態で展開している。『リオネットセンター〇〇』や『〇〇リオン』などが全国にあるが、それらのほとんどは一部の例外を除き直営店や子会社ではなく、リオン株式会社と契約を結んでいる独立した会社である。

無線式クロス補聴器、耳鳴り治療器、遠隔調整対応補聴器などは発売されておらず、海外ブランドには追いつけていない部分も多い。一方、『透湿ベントチップ』『軟骨伝導補聴器』『空気亜鉛電池互換のリチウムイオン充電池』など独自の技術も保有している。
※平凡だが安心感のあるイメージ(個人の印象です)

マキチエ
マキチエ
耳鼻咽喉科と提携した補聴器外来を主力とする日本のメーカーで、高価格帯製品は製造していない

他社への卸売りは行っていないため、原則的には自社が提携する補聴器外来での取り扱いとなる。

購入からアフターフォローまで一貫して病院内で行うため、医師からの信頼を得られやすいブランドである。
※とにかく真面目なイメージ(個人の印象です)

パナソニック
パナソニック
国内外に広く知られている大手電機メーカー"パナソニック株式会社"の完全子会社にあたる"パナソニック補聴器株式会社"が製造するブランドである。

大手電機メーカーの子会社というだけあって、そのノウハウはデザイン性や使い勝手の面で良く活かされている日本補聴器工業会加盟メーカーの中では、充電式耳あな型補聴器を発売している唯一のブランドであもある。(※2020年6月にスターキー社が充電式耳あな型補聴器を発売した)

卸売りに力を入れているが、その対象は補聴器専門店や眼鏡店等よりも、パナソニック製品を専門とした街の電気屋さんなどが多い。そのため、認定補聴器専門店や認定補聴器技能者が常駐する販売店での取り扱いは少ない。
※足で稼ぐビジネスマンのイメージ(個人の印象です)

コルチトーン
コルチトーン
以前は国内メーカーとして補聴器の製造・販売を行っていた。

デジタル補聴器についてはシグニア系列のレクストンのOEMを主に販売している。

他メーカーがアナログ補聴器の製造を取りやめていく中で、アナログ補聴器は現在も自社製造を行っている。
※昔ながるの技術も大切にしていくモダンなイメージ(個人の印象です)

ニコン、オムロン、オンキヨー
それぞれ、カメラメーカー、ヘルスケア製品メーカー、音響機器メーカーで低価格帯補聴器を販売している。
自社製造はしておらず、ニコンとオムロンはリオネット補聴器を作るリオン製で、オンキヨーはWSオージオロジーのA&M製が中心である。



以上、主要メーカーの14ブランドと、低価格帯補聴器を販売している3社の紹介でした。
このほかにも富士医療器、コストコ、パリミキなどがOEMによってプライベートブランドの補聴器を発売していいます。

これまでは他業種の会社がプライベートブランドの補聴器展開を行っていましたが、最近は補聴器専門店独自のプライベートブランドも見られ始めています。
例としては埼玉県で補聴器専門店を運営している岡野電気はスターキーやシグニアと契約してプライベートブランド「OKANO補聴器」の発売を開始しました。

今後、プライベートブランドの流れが広まっていくのかは、まだまだ分かりませんが、業界の流れには注目を続けていきたいです。


どこのメーカー・ブランドの補聴器が良いのかは、補聴器を使用される方々の聴力やライフスタイルにより様々です。

補聴器を選ばれる際には、
・こういった場面で困っている
・こういった場面で使用したい
・予算は〇〇万円以内
この3つを明らかにして補聴器店を訪問されると、選択肢を絞りやすくなるでしょう。

補聴器専門店は複数のメーカーの補聴器を取り扱っている場合が大半ですが、全てのメーカーを取り扱っている補聴器販売店は残念ながらありません。

基本的には、そのお店で取り扱っているメーカーの中から補聴器を選ぶことになりますが、その際にいくつか試聴させてもらうことができます。

聞き比べた上で、もっとも効果が出た補聴器を選ばれる方が多いのですが、中にはデザイン性や価格で選ばれる方もいらっしゃいます。
メーカーごと、補聴器の種類ごとの違いは確かにありますが、どの補聴器であっても、最大限に性能を発揮させるのが補聴器技能者の大事な役割の一つです。

重要なことは、安易に決めるのではなく、様々な視点で十分に考えて補聴器を選ぶことです。
どうか、補聴器を使う今の自分自身にとって、いちばん良い補聴器を見つけてください。