良く聴くノート | 認定補聴器技能者による補聴器と聴こえのブログ

感音難聴に補聴器はどれくらい有効なのか?

2020/07/25
難聴・聴覚障害
補聴器 難聴 耳鼻咽喉科
難聴に気づき耳鼻科を受診した際、「感音難聴」が判明することがあります。
医師から補聴器の使用を勧められたものの、SNSや口コミで「感音難聴に対して、補聴器は効果を発揮しない」という発言を目にしたり耳にしたりすることがあるかもしれません。

聴覚関連の医療機器を販売している日本コクレアのウェブサイトでは以下のように紹介されていました。

軽度から中等度の感音難聴の方には、補聴器が効果的な場合がほとんどですが、難聴の程度が重いと、補聴器が十分役に立たないことがあります。感音難聴の方には、音が歪んで聞こえるからです。補聴器を使うと、音は大きく聞こえますが、必ずしも明瞭に聞こえるとは限りません。特に、重度の難聴の場合は、高品質の補聴器でも音が歪むことがあります。

引用:日本コクレアwebサイトより
https://www.cochlear.com/jp/home/understand/hearing-and-hl/what-is-hearing-loss-/types-of-hl/sensorineural-hearing-loss


難聴の程度によって、補聴器が効果的な場合と、そうではない場合があるとのことです。

本記事では、感音難聴に対する補聴器の効果について解説したいと思います。

感音難聴とは

難聴には大きな分類として、伝音難聴と感音難聴の2種類があります。
これは、耳のどの部位に機能障害が起きているかによる分類です。

簡単な説明として、耳の入り口から耳小骨までの障害による難聴が伝音難聴、耳小骨から脳までの障害による難聴が感音難聴だと理解してください。

感音難聴は、音を感じ取るための有毛細胞の数が減ってしまうことにより、聞こえづらさが生じます。

平均的な人の耳は、非常にたくさんの有毛細胞が活動しており、小さい音を鮮明に聞き取ることができます。
しかし、何らかの理由で有毛細胞が減ってしまうと、小さい音が聞こえなくなったり、音が鮮明に聞き取れなくなったりします。

この有毛細胞を増やす医療技術は現時点では確立されていません。

ただし、人工内耳と呼ばれる医療機器によって、有毛細胞の代わりに感じ取った音を脳に届ける技術はあります。
しかし、平均的な人の耳で活動している有毛細胞はおよそ15,000個ですが、現在の人工内耳はそれらすべての役割を担えるわけではありません。

ある程度の有毛細胞が残っていれば補聴器による音声増幅がであり、一定の基準を超える難聴の場合は人工内耳による補聴が優位になります。


感音難聴と補聴器

それでは、難聴者が補聴器を使用した場合と、健聴(難聴が無い状態)を図解します。
感音難聴00
上図では、「音声」の聞き取りを健聴者、軽度難聴者、高度難聴者を想定して表現しました。
難聴の程度が大きくなるほど、音は小さく、鮮明さも失われていきます。

軽度難聴者が補聴器で「音声」を増幅した場合、多少の歪みはありますが、ほぼ聞き取ることが可能です。
一方、高度難聴者が補聴器で「音声」を増幅した場合は、歪みの程度が大きくなり、健聴者や軽度難聴者よりも聞きにくさを感じます。

感音難聴に対して補聴器が効果を発揮しないというのは、健聴者と比較して鮮明に聞き取ることができないという意味合いが強いです。
鮮明には聞こえないけれど、口の動きや表情を見たり、聞き取れる範囲で推測したりできれば、音声コミュニケーションが必ずしも不可能というわけではありません。
(限られた情報から言葉を推測するためのリハビリテーションやトレーニングは必要になります)

一方、難聴の程度によっては補聴器を使用しても十分に音声コミュニケーションを行うことができないという場合もあります。


ただし、難聴にも個人差があるため、軽度の感音難聴であっても大きく歪んで聞こえる場合や、高度の感音難聴であっても歪みが少なく聞こえる場合もあります。
補聴器を試聴する前から、効果の有無を判断することはできません。まずは、適切な処方による試聴を行ってください。